一回限りではなく、何度も出てくる街。灰色だが、殺風景ではない
街路をぶらぶらと下っていく。この街からは、猫が番頭をやってい
た、廃墟と錦鯉の温泉に行けるし、(ロープウェイ)アルビノのニ
シキヘビが、卵を飲んでいる雪の動物園にも行ける。小泉ちゃん人
形に、マグロを投げつける射的場には、バスで行くのである。


歩いているうちに右手に海が見えてくる。潮風に乗って流れてくる
唸り音は、紐でつないだバイオリンを大男が回しているのだが判っ
ているので、あえて見ないで歩き続ける。

ギャラクシーエンジェル

鉄人28号の前に偶然見たギャラクシーエンジェルに不覚にも笑う。
エイリアンとミクロの決死圏で、ゼリービーンズで遺伝子破壊してパンダとか
もうお話が投げっぱなしで、不条理の域に達しています。


後半も、お見合いにいったのにいつの間にかスパイダーマン永井豪風)に変態して最後に
「トモダチ」って…何をみているのすら分からない。
ひょっとして今回だけ面白かったのかも。

怪談専門誌「幽」を少しづつ。拾い読みが面白い。
ホラーではなく、怪談という所にこだわりを感じます。

直接的な描写でなく、仄見える怪しい出来事の関係を
聞き手が想像して怖くなるのが慎み深く良いところです。



明治時代には優れた怪談文学の書き手がいましたが、
そこから断絶が100年はあるのです。
岡本綺堂小泉八雲田中貢太郎など、平明かつ怖い文章は
堪らないほど上手く、不思議に古びません。


自分が生まれてから一番怖かった話は綺堂の「白髪鬼」。
子供の頃、怖くて日向から出られなくなった記憶があります。
(乱歩の一寸法師も。こっちは今では全く怖くはないのですが。)

暑さ

都心は39.5℃の何か間違ったような暑さでした。
アスファルトとビルからの照り返しが横や上から、さらに不快さを膨らませます。

木陰が涼しい郊外の暑さは、これよりずっと好ましいもので、
くっきりと日射に浮かぶ物の影や、眠ったように人通りが少ない路には
澄んだような気配がします。

内田百輭が「少し宙に浮いたような、この世の者でない様に見える女性」を窓から
見たのもこんな日だったのかも知れません。