一回限りではなく、何度も出てくる街。灰色だが、殺風景ではない
街路をぶらぶらと下っていく。この街からは、猫が番頭をやってい
た、廃墟と錦鯉の温泉に行けるし、(ロープウェイ)アルビノのニ
シキヘビが、卵を飲んでいる雪の動物園にも行ける。小泉ちゃん人
形に、マグロを投げつける射的場には、バスで行くのである。


歩いているうちに右手に海が見えてくる。潮風に乗って流れてくる
唸り音は、紐でつないだバイオリンを大男が回しているのだが判っ
ているので、あえて見ないで歩き続ける。